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ある日の午前中の事さ。
勤務先の工場内にバッタが一匹入りこんでいて、
オレの作業台の上でうろうろしていたところを目にしたんだ。
「おやまぁ」とか思って、すいっと片手で捕まえた。
外に逃がしてやろうと思って。
駐車場の草木があるところまで行って、そっと手を開いた。

そうしたら、バッタ、すぐに飛んでいくかと思ったら
くるりとオレの方に体を向けてさ。
オレの顔をじっと見ている、ような気がしたんだよね。
ほんの一瞬だったんだけどね。
「ん?なんだい?」とか思いつつ、
「行きな」って声をかけたらカシャカシャと
バッタ特有の羽音をたてて飛んでいった。

バッタとその目が合った一瞬が、なんだか愉快でさ。
ちょっと和んでたんだ。

その日の15時休憩に入ろうとしていた頃。
一人の事務員さんが会社の車のキーを失くしてしまった、
とがっくりしていた。
とりあえずスペアキーがあるから支障はないのだけれど
でも失くしてしまった事への責任をずいぶんと感じている
ようでなんとも気の毒だった。

17時近く、その日の仕事のラストスパートでヘロヘロに
なりつつ作業を続けていた。
その時、ふとある場所に違和感を感じた。
会社のトラックのキーを並びぶら下げておくところに
見慣れぬキーがある事に気がついた。

「なんだ、これ…?」と思いながら手にしていた。
「あ…、失くしたキーって、もしかして、これか?」
とか思ってさ、事務員さんのとこへ持っていったわけさ。
「どこにあったんですか!?」って、驚きと喜びが
ごちゃ混ぜになったような顔していた。
まぁまぁ、とにかく見つかってよかったね、って事で
解決したんだけど、
「誰がここにひっかけておいたんだろう…?」って謎は
残ったんだよねー。
事務員さんが使う車は事務所専用車で、そのキーは普段
事務所で管理しているわけ。

だからそのキーが工場内側のキーをぶら下げておくところに
あるのは、あり得ないことなんだよねぇ。

「誰が…?」と思っていたら
「ああ、あのバッタか。駐車場に落ちていたのを見つけて
あいつがここにひっかけておいたんだな」
とか思ったら、なんだか愉快な気分になって。
「いや、あいつにしてみればかなり重かっただろうに」とかね。

もちろん、本気でバッタの仕業だなんて思ってはいないさ。
でもさー、失くしたと思っていたキーは見つかったんだし、
面白い気分にもなったんだし。
それでいいんじゃない?とか思ったんだよね。


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