ある日の朝、いつものようにバタバタと出勤の
支度を済ませて出かけようとしていたのね。
で、部屋を出る時に、ドアの傍に置いてあった プラスチック製の緑色の水差しに何か引っ掛けちゃってさ。
水差しが床に落ちたわけ。
落ちどころが悪かったのか、水差しの持つところが
パッキーンと４つに割れちゃった。
「あ〜あ…」とか言いつつ、その見事に４つに割れた
取っ手を拾いながら、ふと思ったんだ。

「…あれ？　本当は今日、オレの身に何か良くないことが
起こるはずだったのに、もしかしたらこの水差しが
身代わりになってくれたんじゃないだろうか…」
って。

まぁ、特に奮発して買った水差しなんかじゃなくて
ホームセンターでお安く買ったものだったから
別に買い替えてもよかったんだけどさ。
もう１０年以上使っているものだし、中なんか
水垢で黒ずんじゃってるしさ。
ホント、買い替えてもよかったんだ。

でも、その週の休日にホームセンターで購入したのは
接着剤だったよ。

それがね、なんなんだかせめてもの
恩返しのような気がしちゃってね。
それだけのお話。


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