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59「旅館 勝風館」地獄 2015年07月17日
ちょいと前の事になる。
夏休みのシーズンに入ると、どこも混雑して
なかなかゆっくりと入浴できそうもない。
そんなシーズンに入る前に「行こう」と
「おもて那須手形」をカバンに詰めた雨の日。
「おもて那須手形シリーズ」第三弾は、
板室温泉なのである。
板室温泉は、地味だ。(個人的な感想です)
塩原のような温泉地としての硬派っぷりもなく
(個人的な感想です)、那須のような
バラエティーに富んだ温泉地でもない。
(あくまでも個人的な感想です)
しかし、板室温泉は、
その効能から「下野の薬湯」と呼ばれ
昭和46年には国民保養温泉地に
選定されたという歴史があるのである。
ノスタルジーを漂わせるその地の、
根強いファンがいるであろうことを
想像するのは難しいことではない。
今回訪れたのはその中にある宿のひとつ
「勝風館」である。
オレンジ色の建物が、ひときわ目立つ。
フロントにて、「日帰り入浴はできますか?」と
たずねると「手形はお持ちですか?」との答え。
話が早い。「もちろんでさぁ」とばかりに
差し出す。
風呂場。特に露天風呂などは無く
いたってシンプルな浴場だ。
洗い座は3つ。
ボディーソープ&リンスインシャンプー有り。
身体を洗い終えて、湯船に向かう。
この湯船が、なんでしょう、
寄り道温泉地獄史上、初めて見るデザイン。
ご覧いただこう。
派手?…いや、違う。
おしゃれ?…違う気がする。
サイケ?…でもないよなぁ。
お湯が流れ出てくる岩がそこはかとも無く
温泉感を漂わせてはいるのだが、
湯船全体から放たれてくる
「ノスタルジーへの挑戦」とも受け取れる
謎の赤い湯船。
はたして、どんな意図があって
このタイル柄をチョイスしたのであろうか…?
浴場内の最初の写真をご覧になって、
「おや?」っと思われた方もいるかもしれない。
そう、さらに謎が膨らむエリアが
この浴場内にはあるのだ。
ご覧いただこう。
何だ…?このエリアはいったい何なのだろう?
よくよく考えていただきたい。
ここはいったい何をする場所なのだろうか…?
湯船で茹で上がるおっさんを高見の見物と
しゃれこむ場所なのであろうか…?
湯船から少々高いエリアになっている為、
危険防止を目的として手すりをつけたのは
わかるのであるが…
ではなぜ階段をつけてまで、この高さを
確保するエリアが生まれたのであろうか…?
さながら「動く歩道」の様相を呈しているが
いつまで見ていても動きそうにはない。
ていうか、動いたところで壁にぶつかるだけだ。
「はたして…」と、入口側の湯船で
特にくせの無い湯に浸りながら考えていたら
突然奥側の湯船が「ボシュー」と音をたてた。
「何事か?」と目をやると、なんと
ジャグジーが発動し始めた。
宿の方が気を使ってジャグジーをオンに
してくれたのだろうか?
それはそれはと、早速奥側の湯船へと移動する。
足裏に、腰に背中にとジャグジーさんを
あてまくる。
ジャグジー風呂に変身した湯船を
独り占めしている優越感に浸っていたまさに
その時!あっ…と、ひらめいた。
「この、謎のエリアの内部には、
もしかしたらジャグジーマシーンが格納
されているのではないだろうか…?」
ジャグジーマシーンが如何なる物なのかは
知らないが、妙なまでの確信を感じていた。
謎のエリアを見つめながら
「我、得たり」と
半笑いになっているオレの横顔を、
窓から降り注ぐ神々しいばかりの白い光が
照らしていた。
一言で片付けよう。
「反骨のエキセントリック風呂!」
この事である。
↓ 温泉成分表
「旅館 勝風館」データ: Ph9.6
<泉質> アルカリ性単純温泉
<源泉> 塩沢温泉組合源泉(板室4)
<源泉温度> 34.9度
◇「旅館 勝風館」サイト
◇「旅館 勝風館」周辺マップ
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