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参考サイト

日本一の美人の湯考
メタケイ酸とは?
MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

77「さくら市 市営第2温泉浴場 露天風呂」地獄 2017年06月27日

前回分の「市営第1温泉浴場」を
お読みくださった方なら
もうお気づきであるとおもわれる。
第1があるなら第2もあるであろうと。
はしご湯として向かったのは第1浴場から
車で5分ほどで行ける、
「市営第2温泉浴場 露天風呂」である。
こちらをオレは勝手に「次男坊」と
呼んでいた次第。

 
いかがであろうか。
この外観。「おとなしくて気立ての良い長男坊」の
様子と比べると、あまりのギャップに
ただならぬ雰囲気を感じてしまうではないか。
長男坊はいかにも「施設」といった様相であったが
次男坊にいたっては「小屋」と呼ばれても
いたしかたがない。
「決しておとなしくはない」
温泉バカメーターがふりきれるほどの
手応えを早くも感じていた。

やけに滑りのよい引き戸を開け小屋内に突入する。
狭い。
狭い受付前スペースに「いやぁ一応市営だから
置きますけどね」とでもいわんばかりに
ドスンと入浴券用の自販機がある。
スペースが狭いもんだから異様に大きく感じる
その自販機に300円を投入。

入口の写真に写っている看板を
ご覧いただければわかるように
この露天風呂は元々平成元年に「町営施設」として
オープンしたものらしい。
事情は知らないが、その後「市営施設」に
管轄が移ったもの、と思われる。
それ故、この入浴券自販機も後付けとして
狭い受付前スペースにドスンと置かれたのだろう。
このやぶからぼうな感じが、
なんともかわいらしく思えてしまう。

受付の女性に入浴券を渡すと
「初めて利用されます?」と確認され、
「このお風呂は源泉かけ流しですので
かなり熱くなっております。
それからカランから出る湯も源泉を使用している為
洗髪には向いておりませんのでご了承ください」
と、丁寧に説明をしてくださった。

人のやわらかさと相反しての、
温泉の荒々しさがまだ脱衣所にも入っていないと
いうのに、ビリビリと伝わってくる。

脱衣所。
100円返却式ロッカーが並んでいる。
ガラスドアの向こうに、どぅわぁ〜っと広がる
露天風呂の風景。
その名前通り、ここは露天風呂オンリーだ。
洗い座も、簡易な屋根があるとはいえ露天だ。
居るなぁ。
真っ赤に茹で上がった10名ほどのじーさん達。
よくわからんが、めちゃめちゃトークに花が咲いている。
意味不明な活気のようなものが、服をロッカーに
押し込むオレに向かって押し寄せてくる。
ここは一体、何屋なのだ?
100%確信した。
ここの写真撮影はどうあっても無理、であると。
温泉の様子はページの一番下にある「周辺マップ」から
Googleマップにある写真をどうぞご覧いただきたい。

洗い座は6か所ほど。石鹸のみ有り。
大きな湯船のほぼ中央部分に木造りの屋根がある。
湯船を形成する岩の並び方が実に荒々しい。
無頼漢まる出しである。
その湯に浸かってみる。
熱い。これは本当に熱い!
源泉温度50度。それのかけ流し。
おそらく温度調整などという繊細なことは
していないことだろう。
湯船に注入後、やや下がると想定して
45〜47度あたりだろうか?

とても長くは浸かっていられない。
浸かったり上がったりを繰り返してみるが、
おそらく岩の上に座り涼んでいる時間の方が
長かったことであろう。

市営第1浴場と、第2浴場。
「おとなしい長男坊」に対しての
「荒々しくやんちゃな次男坊」という対比イメージが
完全にオレの中でできあがっていた。

「同じ兄弟なのに、どうしてこうも違うのかしら?」
と、まるで母親のようなセリフまで湧いてくる始末だ。

「いや、おかあさん。
今でこそ第1、第2と兄弟として
扱われていますが、次男坊は元々町営の出。
それがいささか負い目となって次男坊の心に
影を落としているのかもしれません」
お前は誰だ?と、自分で突っ込みたくなる謎の
登場人物までが頭の中で話し始めていた。

高張性温泉のせいかもしれない。
後で成分表を見て気付いたのだが、
ここは珍しい高張性温泉であるがため
頭の中にも、より効いたのかもしれない。

しゃにむに会話を楽しんでいるじーさんと
ふと目があった。
丁度、話相手のじーさんが立ち去ったからなのか、
「次はお前だ」とでも言わんばかりに
オレに話しかけてきた。
ひたすら自分の事を話している。

ただ、その話がどういうわけか「どうでもいい」とは
思えなくて、「ふむふむ」と聞き入っていた。
それも高張性のなせる技なのかもしれない。

4年前に前立腺がんであると医者に宣告されたこと。
手術をするよう求められたが拒否したこと。
でも4年経った今もこうしてぴんぴんして
生きていること。
若い頃は東京で働いていたこと。
集団就職で金の卵だなんて呼ばれていたこと。
お中元やお歳暮時に瓶ビールを入れる
ダンボールを作る工場に勤めていたこと。
忙しくて忙しくて大変だったこと。
その会社の社長はいい車に乗っていて腹がたったこと。

じーさんはどういうわけか、
ころころとした無邪気な笑顔で愉快そうに
そういう話をし続けていた。

この「次男坊」は、こういうじーさん達を
毎日、毎日、向かい入れている。
名湯喜連川温泉の名に恥じぬ
温泉成分量の多さをひけらかすことなく。
荒々しいながらも、どこか許容するやさしさが
あるのかもしれない。
だからじーさん達は毎日ここへ来て、笑うのだ。

一言で片付けよう。
「さすがは、喜連川」
この事である。



↓ 温泉成分表



「市営第2浴場 露天風呂」データ: Ph8.0
 <泉質> ナトリウム-塩化物温泉
          (高張性弱アルカリ性高温泉)
 <源泉> 喜連川温泉2号泉
 <源泉温度> 51.0度

 試料1kg中の各成分(mg)
 ・ナトリウムイオン:3639.0
 ・塩素イオン   :5866.0
 ・硫酸イオン   :0228.6
 ・炭酸水素イオン :0210.6
 ・メタケイ酸   :0096.0



◇「市営第2浴場 露天風呂」参考サイト

◇「市営第2浴場 露天風呂」周辺マップ

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