前口上2014
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2019年の「温泉地獄」

参考サイト

MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

44 「弁天温泉」地獄 2014年5月30日

標高約1200mを目指して、
オレのミニカー…ミニカーじゃねーよ!
オレのミラジーノは、山を駆け上っていく。
日差しは強いが、窓から飛び込んでくる風が
涼しく心地よい。

「休暇村那須」という施設の向かいにある小道に
入っていくのだがうっかり見落とし、通過して
しまった。
すごく気をつけて走っていたハズなのだが…。
看板だってでかでかと掲げてあるというのに…。



ともあれ、Uターンして戻り、小道に入る。
駐車場から歩くこと100m。
今回の目的地「弁天温泉」が見えてきた。



山の木々の中に隠れるように立つ宿は、
なにやら奥ゆかしささえ感じられる。
玄関を入ってすぐ左手に受付がある。
「内風呂のみになってしまうのですが…」
宿のご主人と思われる方が、申し訳なさそうに
断ってきた。
それもそのはず、この「弁天温泉」は
5種類の露天風呂(混浴)がなかなかの
売りとして紹介されていたりする。
その露天風呂に入れないのは、さすがに無念さが
こみあげてきたが、是非も無し。
そのせいなのだろうか、通常1000円の入浴料が
500円になっていた。特別価格?

やや薄暗い廊下を歩き、風呂場へ。
丸底のかごが棚に並んでいる。シブい。



どうやら先客はいないようだ。浴場へと突入する。
そこには、なんとも、ワイルドな光景が待っていた。



変形な湯船。やや白濁した湯。ふたつしかない洗い座。
しかもそのうちひとつは壊れている。
半露天を思わせるごっつい岩の塊。そこから源泉が
湯船へとザブザブ流れ出している。
「おとなしくはない…」直感でそう感じた。
石鹸、シャンプーは有る。

湯船へ身体を沈める。適温、よりもほんの少し熱く感る。
底が浅く、肩まで浸かろうとすれば自然と寝湯の
姿勢になる。ほんのりと肌がスベっとする感覚。
香りはさほど感じなかった。
が、源泉感は十分に感じられる。

…ふと、不思議に思った。
あれほどに源泉が湯船に注がれているというのに、
湯船から湯があふれてはいない。
「どこから湯は外へ出ているのだろう…?」うろうろと
捜してみたものの、見つける事はできなかった。
しかし、湯船を囲むようにある排水溝には、
湯が流れている…。一体、これは…?

また寝湯の姿勢になって、天井を見つめていたら、
なにやら不可思議な気分になってきた。
「ここは、本当に温泉なのだろうか…?」



先ほどから女性客と思われる声が聞こえていたのだが、
本当にそれは、女性客の声…なのであろうか?
湯を両手ですくい、顔へ近づける。
「じゃあ、今、オレはどこにいるというのか…?」
少しだけ白濁したその湯で、顔を洗い流す。
身体が熱くなってきた。
湯船の縁に腰を下ろしてクールダウンする。そして、
あらためて天井を見上げ、視線をゆっくりと移した。



聞こえていた女性客らしき声が、フェードアウトして
静寂が見上げる天井から降り注いできた。
湯の音だけが響いている。
座った姿勢のまま、オレの視線だけが移動している。
窓から入ってくる日差しが、湯気を照らす。
その窓を見つめながら、オレはこう思っていた。



「オレは…もしかして、サイレントヒルに迷いこんで
しまったのではあるまいか…?
ここへ来る時に、入るべき小道をなぜか見失っていた、
あの時から…」

なぜ…洗い座が実質1つしかないのに…
桶は5つもあるのか……?



もしも、ここがサイレントヒルなのだとしたら、
桶の一つぐらいはアイテムとして所持していた方が
いいのだろうか?その為の5つ…とでも?
しかし、桶1つで襲い掛かってくるクリーチャーと
まともに闘えるのだろうか?
今のオレの身を守るものといえば頭に巻いた
タオル1本だけだ。

武器:桶  防具:タオル
「絶対、無理!」身体も温まったことだし、
上がることにした。

一言で片付けよう。
「こっちのドアは開けちゃだめ。
露天風呂へ出るドアは別にあるから。」
このことである。



…では、一体何の為のドアだというのか…


↓ 温泉成分表


「弁天温泉」データ: Ph6.4
 <泉質> 単純酸性 (中性低張性高温泉)
 <源泉> 弁天温泉 No6〜9混合泉
 <源泉温度> 48.0度
              


◇「弁天温泉」サイト

◇「弁天温泉」周辺マップ