前口上2013
37「まことの湯」地獄
36「観音湯」地獄
35「桜の湯」地獄
34「おおるり山荘」地獄
33「早乙女温泉」地獄
32「ベルビューホテル」地獄

31「大出館」地獄

30「中の湯」地獄
29「ラ・フォンテ」地獄
28「ホテルアオキ」地獄
27「一井屋旅館」地獄
26「グリーングリーン」地獄
25「むじなの湯」地獄
24「きみのゆ」地獄
23「小鹿の湯」地獄





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2012年の「温泉地獄」
2014年の「温泉地獄」
2015年の「温泉地獄」
2016年の「温泉地獄」
2017年の「温泉地獄」
2018年の「温泉地獄」

参考サイト

MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

31「大出館」地獄 2013年6月16日

「中の湯」で火照りあがった身体が、ようやく落ち着いてきた。
「そばが食べたいなぁ。昼飯はそばにしよう。」などと思いながら
車をスタートさせ、もみじラインを下り始めた。
すぐに元湯温泉へと向かう道が見える。
「ああ、確か元湯温泉方面からも広い道(塩原バレーライン)に
出れたんだっけ?」と、ふと考えた途端にハンドルをきっていた。
「え?行くんすか?マジで?」とまるでよくわからない独り言を
口にしていた。
じゃあ、元湯温泉を確認しつつバレーラインに出ることにするかー、と
けっこうな細い道をぐねりぐねりと進むことにした。
道の両側に立つ木々が大きい。その影が道を乾きずらくしているようだ。
ふいに建物が見え始めた。元泉館と、ゑびす屋。

元湯温泉は、塩原十一湯の中では最も歴史が古いそうだ。(806年発見とのこと)
かつては賑わいもあったのだろうが、1659年の地震によってそのほとんどが
山津波で崩壊してしまったらしい。現在は山中にたたずむ3件の温泉宿が
お客様のお越しをお待ちしている。

さてさてバレーラインへと抜ける道はと…車を進めると、あれ?あれあれ…?
おや?…と、やけに車が停まっている場所にたどり着いてしまった。
駐車場だ。丁度一台分、「こちらにどうぞ」と言わんばかりに空いていた。
「はぁ、そうですか」てな感じで、無抵抗にスススーっと停める。
車を降りる。建物。「大出館」の文字。

ふと、目線を山々の緑へと移す。「むぅ」と一呼吸。
来てしまった。なぜか、どういうわけか、大出館に来てしまった。
しかもなんだか、オレ、車降りちゃってるし。
もはやこの状況で、ただ立ち去るワケにもいかない。入る一手である。

フロントで若いおかみさんに、立ち寄り入浴が可能かどうかを聞いてみる。
「はい。大丈夫ですよ。どうぞー。あ、ただ『墨の湯』の方は14時から
女性専用になりますので、お早目にどうぞ。」
時計を見る。13時40分。あと20分しかないし。
移動とか着替えとか考えたら実質10分入ってられるかどうか、だ。
入浴料600円を払い、急いでぱたぱたと「墨の湯」と向かう。
フロントがあるのは建物の3階。エレベーターで風呂がある1階まで降りる。
廊下には、ここを訪れた方々のサインが飾られている。
有名どころでは…おお、雨上がり決死隊。ほっほーう。
いかん、時間が無い。急がねば。

脱衣所。かごがかなり衣服で埋まっている。
同様にすべりこみで入りに来たお客さんがいるようだ。
まだ濡れたままのタオルをパシリと肩にかけ入場。
7〜8人のお客さんがいる。
硫黄臭。そして、黒い。

「墨の湯」とは、墨をそそぎこんで黒くしたわけではなく、
源泉からして黒いという、めずらしい湯なのだそうだ。
入口から見て、右手に広めの湯船。正面にやや小ぶりの湯船。
左手に洗い座。(2,3か所くらいだっただろうか。記憶曖昧)
ざふーんとかけ湯ですませて、人が入っていない正面の小ぶりな
湯船へと突入する。
熱い。熱いし、これ。
ああ、そうか。広い方が適温で、だからみなさんそちらに入って
いらっしゃるのですね。
などと、納得していると、ひとり、またひとりと湯から出ていく。
いやいやいや、もう時間っすか。
こうなったら最後のひとりになってやろうず、と腹をくくって
広い湯船へと移動する。と、その時、
ひとりのじーさんが「そっちの熱い方でないと入った気がしないなぁ」
なんて事を言いながら、まるでポジションチェンジでもするかように
湯船を交代する。じーさん、やる。
適温。いや、もはや少々ぬるいとさえ感じる。
入ってみればこれがダブルヘッダーの2試合目である事を忘れてしまう
ほどの充実感。
まだまだ入っていられる、というか、入っていたい湯なのであるが、
無念。もうギリギリであろう。じーさんも身体を拭き始めている。
他には誰もいない。
脱衣所で服を着ていると、先に出たじーさんが、どうやら空くのを
待っている女性陣に「あとひとり出てくるから」と
説明をしてくれている声が聞こえてきた。
やれ、急げ急げと出ていくと、3人のおばちゃんが待っていた。
「はい、大変お待たせいたしましたー。自分で最後でございます。
ええ、中にはもう誰もおりませんですー。
はい、どうぞ、ごゆっくり。どうぞ、どうぞー。」
と、以前、カレーうどん専門店のアルバイト店長として鍛え上げた
腰の低さを炸裂させ、無事に女性専用タイムを向かえた。


「墨の湯」のドアが見える場所にちょっとした休憩所がある。
扇風機の風をあびて汗がおさまるのを待ってみる。
ここ「大出館」には他にも、時間や環境によって湯の色が変わるという
露天風呂があるのだが、いやいやいや、もうさすがに。ごっつあんです。
足裏マッサージ機があったので、ぐりんぐりんしてもらう。
ふと、壁に張ってある紙に目をやる。
インフォメーションだ。
…なんと!「6月17日から7月31日までの期間、風呂の改装工事の為
日帰り入浴は休業させていただきます」、との事。
この日の翌日から工事だったのだ!「うぇえ!?マジすか!!?」

3階まで戻る。フロント前のロビーにある椅子に、年配のご婦人が
座っていた。「宿泊客」と思ったのだが、「ありがとうございました」と
言われ、「ああ、宿の関係者だったのか」と気付く。
少し話をうかがってみる。
「温泉の硫黄の影響で、どうしても定期的に工事は必要なのですよ〜。
宿の車や電化製品なんかも痛みやすくて…」なんてお話を聞かせていただいた。
しかし、それにしても、工事に入る前日の、女性専用タイムになる
20分前にすべり込みで、まったく予定してなかった湯にやってきたとは…
なんだかこう思わずにはいられないのであります。
一言で片付けよう。
「絶品の湯があるよ。せっかくそこまで来たんなら、寄っていきなさいな。」
この事である。

ま、誰に呼ばれたのかはよくわかりませんが。

↓ YouTubeに「墨の湯」内を撮影した動画がありました。
◇塩原元湯温泉 大出館 墨の湯

↓ 「大出館」のサイト内に温泉成分表があります。
墨の湯 温泉成分表

「大出館 墨の湯」データ: Ph7.1
 <泉質> 含硫黄-ナトリウム-塩化物 炭酸水素塩温泉(硫化水素型)(中性低張性高温泉)
 <源泉> 五色の湯 No.3
 <源泉温度> 52.6度
              


◇「大出館」サイト

◇「大出館」周辺マップ