前口上2013
37「まことの湯」地獄
36「観音湯」地獄
35「桜の湯」地獄
34「おおるり山荘」地獄
33「早乙女温泉」地獄
32「ベルビューホテル」地獄
31「大出館」地獄
30「中の湯」地獄
29「ラ・フォンテ」地獄

28「ホテルアオキ」地獄

27「一井屋旅館」地獄
26「グリーングリーン」地獄
25「むじなの湯」地獄
24「きみのゆ」地獄
23「小鹿の湯」地獄





.......................

2012年の「温泉地獄」
2014年の「温泉地獄」
2015年の「温泉地獄」
2016年の「温泉地獄」
2017年の「温泉地獄」
2018年の「温泉地獄」
2019年の「温泉地獄」

参考サイト

MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

28「那須野ヶ原温泉・ホテルアオキ」地獄 2013年4月19日

午後5時45分。車は西那須野方面に向けて走っていた。
山々がシルエットとなって見える夕空の美しさが、どういうワケだか
「あああああああっ」と胸の内側をえぐってくる。
途中、「味の民芸」という和風なファミレスで食事をとる。
大田原市内を抜け、以前行った、「太陽の湯」方面に向かう。
蛇尾川を渡り、すぐに左折。そしてすぐに右折。
あたりはもう暗い。「これはぁー、目的地を見落とす可能性、大!」などと
独り言を言っていたら、温泉バカセンサーがあざとく「那須野ヶ原温泉」の
看板をキャッチ。大袈裟感がまるで無い「ホテルアオキ」に到着した。

ホテルの正面玄関に向かって右手に日帰り入浴専用の入口がある。
フロントそばに入浴チケットの自販機があるので、500円を投入。
(通常600円・17時以降500円)
脱衣所。100円返却式ロッカー。カギのついている場所を開ける。
…はっ!…衣類がギュッと詰まっている。
「うおっ」と軽くのけぞる。そっと扉を閉めて、その隣りの隣りの
カギのついている場所を開けてみる。
…衣類がギュッと詰まっている。
「ドッキリか?ドッキリなのか?これ!たくさん空いてるようで
実は全部服が入ってまーす、みたいなオチか?」こみあげてくる笑いを押し殺しつつ
また別のロッカーをそろ〜りと開けてみる。今度は空いていた。

浴場へと突入する。…香り。
「おう」っと声にしてしまうホドに温泉の香りがふぃ〜っとくる。
入って右手に半円状のでっかい湯船。左手に洗い座が10か所並んでいる。
ボディーソープ&リンスインシャンプー有り。
しかし、例の押しレバー式の、湯の出ている時間が短いタイプの洗い座だ。
シャンプーを使う際にはポンポンポンと押しまくる。しかし…何でしょう。
湯を途切れさせないよう意地になってしまうのは何故でしょう?

身体を洗い終え「いざ!」と広い湯船へ突入する。
湯に腰まで沈めたところで、足をスッと触ってみる。
すべっすべのぬるっぬる!である。それはもう瞬間的に。「ぬっ」なのです。
湯船の脇に念を押すかのように「かけ流しです」の表示。
それをちらりと横目で見つつ「偽りなし」と心で思う。
ちゃぷーっと肩まで身体を沈める。
「行ってるね。これは。9、行ってます。」と、そのぬるぬる具合から
恥ずかし気もなくペーハー値を予想してみたりする。
若干熱めに感じる温度であるが、「本物感」がたまらず
つい長めに浸かっててしまう。
「いや、これはもういかん」と、露天風呂へと移動してみる。

露天風呂へのドアを開けると…「無い」。
目の前にあると想像していた湯船がそこには無く、ぐるりと建物にそって
歩かねばならないようだ。
身体にあたってくる風の冷たさに耐えつつ、20〜30歩ホド歩いていくと
ありました。もう、見るからにいい感じの露天風呂が。
加温をもしてない証拠なのか、露天風呂の方はぐっとぬるめの温度。
しかし、これが。これが曲者。
ソッコーで全身を湯に沈める。やはりすべすべのぬるぬる。
そして、頭をのせられる岩を見つけて、寝湯のような状態になってみる。
洒落たライティングは無い。建物からの明かりだけでやや薄暗い印象。
夜空。
雲がかなりの速さで流れていく。
月が姿を見せたり隠したりしている。
「あー、これもいかん。ずぅ〜っとこうしていられる。いかーん。」
星空がきれいだなぁ、と気をゆるめればヒタヒタと眠気が
やってきそうだ。いや、いっそ眠ってしまおうかな、とさえ
思うほどの誘惑と脱力。

いったいどれくらい入っていたのだろう…。
ええい、と気合いを入れて内湯へと戻る。おおう、寒い!
こっちに来た時よりも外気がキビしく感じる。
浴場に入りそそくさと半円状の湯船へ。むぅうぅ。あったまるー。
身体を洗っていた時には5〜6人程度しかお客さんがいなかったのに
気がつけばいつの間にか10か所ある洗い座が満席になっていた。
そんなタイミングであったが、運よくバブルバスが空いていた。
最初から気にはなっていたのだが、どうにも2,3人必ず人が
入っていて「そのうちに…」と後回しになっていたのである。
すさまじい気泡。ぶっくぶくなのである。
もう一度。ぶっくぶくなのである。
となりにいたおやっさんにならい、寝湯状態になってみる。
おおおおおおぉおおぉおおぉう!
なんという全身マッサージ!これは良かですねぇ。
しかもこちらの湯船も源泉かけ流しのようで、すべすべぬるぬる。
さらに若干、半円状の湯船よりは温度が低いように感じるため
ここでも「これはいかーん」な時を過ごすことになる。
背中、腰は言うまでもなく、指先足先の毛細血管にいたるまでをも、
気泡どもがもみほぐしてくれているかのような感覚だ。

いったいどれくらい入っていたのだろう…。
ふわっふわな気分になりながら、ようやく立ち上がった。
もういいでしょう。もうお腹いっぱいです。
脱衣所へ戻ろうと頭に巻いていたタオルをとり、身体を拭こうとしたその時!
あれは、何でしょう。魅惑っていうんでしょうか。
半円状のデカ湯船に入ってってしまいました。
「なぜ?」と、もはや自分でもワケがわからなくなっているような。
「じゃあ、とにかくこれで仕上げって事で」と無理矢理に理由をこじつけ、
その湯を堪能した次第なわけです。
脱衣所への出入り口脇にサウナもあるのですが、いやいや、サウナに
入っている時間が惜しい、と思うホドに湯に引き寄せられるのです。
時計を見れば、8時。…ああ、一時間近く入っていたようだ。
そしてそのほとんどの時間を湯船の中で過ごしてしまった。
なんという長期戦であったのだろう。
後から入って来てたはずのお客さんが、すでに服を着終わっている。
一言で片付けよう。
「天皇賞・春(G1)! 京都競馬場 芝3200m!」
この事である。




「那須野ヶ原温泉・ホテルアオキ」データ: Ph9.3
 <泉質> アルカリ性単純温泉
 <源泉> 那須野ヶ原温泉
 <源泉温度> 52.7度
              


◇「ホテルアオキ」参考サイト

◇「ホテルアオキ」周辺マップ