前口上2013
37「まことの湯」地獄
36「観音湯」地獄
35「桜の湯」地獄
34「おおるり山荘」地獄
33「早乙女温泉」地獄
32「ベルビューホテル」地獄
31「大出館」地獄

30「中の湯」地獄

29「ラ・フォンテ」地獄
28「ホテルアオキ」地獄
27「一井屋旅館」地獄
26「グリーングリーン」地獄
25「むじなの湯」地獄
24「きみのゆ」地獄
23「小鹿の湯」地獄





.......................

2012年の「温泉地獄」
2014年の「温泉地獄」
2015年の「温泉地獄」
2016年の「温泉地獄」
2017年の「温泉地獄」
2018年の「温泉地獄」
2019年の「温泉地獄」

参考サイト

MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

30「中の湯」地獄 2013年6月16日

平日に温泉へと寄り道をする場合には、前日から「行くぞー」と
気持ちを高ぶらせていたりします。
が、日曜日となると突然思い立って「温泉行くかー」と用意し始める
パターンが多いようです。
この日もそうでした。午前11時30分。
「うう〜ん、硫黄〜泉」と急遽、車を塩原方面へと走らせたワケです。

我がミラジーノ泣かせの、例のぐねぐね登り坂、もみじラインを進み
3度目の新湯温泉。
車を降りて「湯荘 白樺」の脇の小道をてくてくと歩くこと1分弱。
すぐにそれとわかる、かわいらしいほったて小屋が目に入ってくる。
公共温泉の「中の湯」である。

「むじなの湯」同様、入口に入浴料を入れる箱がある。
300円を投入し、いざ中へと突入する。

せまい。
ドアを開けると湯船脇でクールダウン中のおやっさんといきなり目が合う。
「こんちはー」軽く挨拶をする。まだ靴も脱いでいない。
脱衣所。総木造り。壁に板をたてつけた感じの棚に服をインするかごが置いてある。
雰囲気は「むじなの湯」に似ているが、あちらよりも少々ちいさい印象。
せかせかと服を脱いでいる間に、先ほどのおやっさんが上がってきた。
交代するかのように浴場へと入る。
脱衣所同様に総木造り。
タタミ一畳分、をひとまわり大きくした程度の大きさの湯船。
美しく白濁した湯が満たされている。もちろん最高にグッとくる硫黄臭だ。
が、しかし、なのだ。
手桶で身体に湯をかけながら壁を見渡し、茫然としてしまった。
「なんだこれ………ひでぇなぁ…」
壁という壁に、何かでひっかいて書いた落書きがしてあるのだ。
名前らしきもの、がほとんどのようだ。
どうしてこう心無い者がいるのだろう。残念でならない。
もう、ホントに残念で、残念で、残念で、くやしい。

そろ〜りと湯船へ入ってみる。適温。
おそらく先のおやっさんが加水していたのであろう。
湯船にそそがれる源泉はかなり熱いのだ。
3分も浸かっていると、じわじわと温度が上がっていくのがわかる。
一度あがってクールダウンしてみる。
そのまま湯船を眺めていると、白濁した成分がゆっくり動いているのが見える。
まるで湯船の中に雲をしきつめているかのようだ。
実に美しい。
その湯の中にまたそ〜っと身体を沈めてみる。
おおう。さっきよりもさらに熱くなっている。
しかし、水を加えるような事はしない。あるがままの、温泉を、じっくりと、
この身に、しみこませ、…3分も入っていられない。
再びクールダウンして、今度は腰までにしてみる。
やっぱり確実に温度が上がっている。
また上がる。3度目のクールダウン。

けっこうな火照り具合になってきている。もう、よろしいのではないですか?と
自分に問うていたその時、若いお父さんとその息子がドアを開けた。
「こんちはー」とまた軽く挨拶してみる。
おお、先のおやっさんのポジションに今度はオレがいるではないか。
「よぅし、あのお父さんと息子が服を脱ぐまでの
少しの時間だけ浸かってフィニッシュだ」と意を決して入ることにする。
熱い。熱いという表現以外ありえない。
しかし、その余韻にひたるかのように、両手で湯をすくい顔にぱしゃりとかけてみる。
選手交代。
拭いても拭いても汗が出てくる。もう、靴下とかはいてられない。
「おおお、熱いなぁ、これ」とお父さんの声。
是非、息子さんの為に加水してあげてください、と心の中で呟いてみる。
外。風が気持ちいい。
自販機で飲み物を買い、「寺の湯」の裏手に見える「新湯爆裂噴火跡」を
眺めながら涼んでみる。

「あー、寺の湯、入ってくかなぁー」と、ふと考えたりもしたが、
「まさかよ。」まだ引かぬ汗が行く気を拒んだ。
一言で片付けよう。
「名湯・中の湯!心無い人間に負けないで!」
この事である。

ところで、誰もが一度や二度は「なにかに呼ばれたな」とか
「これは、ひっぱられたなぁ」なんて思う経験がきっとあるはず。
まさに、そう思わざるを得ない出来事がこの後、起こるのであります。
                           <つづく>

↓ YouTubeに「中の湯」内を撮影した動画がありました。
◇塩原温泉 中の湯

「中の湯」データ: Ph2.6
 <泉質> 単純酸性硫黄温泉(硫化水素型)
 <源泉> 共同噴気泉
 <源泉温度> 79.2度
              


◇「中の湯」参考サイト

◇「中の湯」周辺マップ