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02「幸乃湯温泉」地獄 2012年2月9日
日曜日、昼過ぎに板室方面に車を走らせてみた。
雪景色。望むところである。
てか、こんなに雪が残っているとはビックリだ。
自宅から30分もかからずに来れるのに風景がえらい違う。
「この状況で生き地獄を口走るのは容易すぎて、
ちょっと反則ぎみかな」などと思いつつ、アクセルを踏み込んだ。
到着したのは「奥那須 大正村 幸乃湯温泉」。
玄関から風呂場まで歩く間に、おそらく食堂、
と思われる所の横を通っていくのだが、
これがまたなんともレトロなムードを漂わせていて
不可思議な雰囲気を味わう事ができる。
さて、肝心の風呂場なのだが、ほどほどの広さ。
ボディーソープは置いてあるが、シャンプー&リンスなどは無いので
どうしても必要な方は持参する事をお勧めする。
身体を洗い終え、内風呂に入ってみる。
ちなみにタオルを湯船の中に入れるのは基本的にマナー違反だ。
故に湯船に浸かる時は、タオルを頭の上に乗せてみたり、湯船の端に置いたり、
ほっかむりしてみたりと、人によって様々なスタイルをとるが、
オレは鉢巻のように頭に巻く派である。
もちろん「真剣勝負なんだぜい」という意思表示の為だ。
温泉独特の硫黄臭はそれ程感じられず、
どちらかといえば澄んだ海水を連想するような上品な湯に感じた。
昼過ぎなので外の様子がよく見える。
雪を被った石垣に囲まれた露天風呂がこちらの様子をうかがっている。
「出て来いよ」
まるでそんな挑発を受けているかのようだ。
じっくり内風呂で身体を温め、満を持して露天風呂に向かう。
3メートル程の高さから3本の打たせ湯が、唸りをあげて待ち受けていた。
望むところである。ここのところ忙しい仕事で辛くなっていた足、腰、背中などを
程良い圧力がかかるよう身体をくねらせつつ、打たれまくった。
くまなく打たれまくった。
「な…なんという、これは、なんという…!」
ふと目線を上にやると、雪を被ったわら葺の屋根がメンタルまでもを
マッサージしまくる。
打たせ湯の隣の一段高い所には静かな岩風呂がある。
仕上げにここで半身浴をしてみる。
ひんやりした空気など、さほど気にならない程に身体は温まっていた。
湯船に小さな枯葉がゆらゆらと浮いていた。それもまた、風情だ。
一言で片付けよう。「極楽」である。
どう考えても、あの状況で「生き地獄だ」なんて言い放つのは
正気の沙汰ではない。あまりにも無謀な苦行だったといえよう。
帰り道、アクセルが軽く感じたのは単に山を下っているからだけでは
なかったハズだ。
◇「幸乃湯温泉」サイト
◇「幸乃湯温泉」周辺マップ
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