前口上
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04「華の湯」
03「芦野温泉」
02「幸乃湯温泉」
01「源泉 那須山」
.......................

2013年の「温泉地獄」
2014年の「温泉地獄」
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2016年の「温泉地獄」
2017年の「温泉地獄」
2018年の「温泉地獄」
2019年の「温泉地獄」

参考サイト

MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

13「大鷹の湯」地獄 2012年10月3日

今回はまず冒頭から生意気を語らせていただきます。
温泉にも「好み」のようなもの、があるような気がするワケです。
料理といっしょで、どれだけ人が「あれはいいよ」と言っていても
入った当人の好みに合わなければ「ふ〜ん…」となってしまうような。
そしてやっぱり料理といっしょで、好きかそうでないかがぴきーんと来るのは
湯船に入ってすぐ、ものの10秒もたたないうちに決まるような気もするワケです。
そんなワケで、初めて足を運んだ温泉に入る瞬間というのは
「さぁ、はたして…」というワクワクドキドキの妙な昂揚感が湧き上がってくるのです。

勤務先からわずか15分程度、西那須野方面に車を走らせた場所に
温泉旅館「大鷹の湯」がある。
立ち寄りは平日のみとの事。
望むところである。「寄り道温泉」の原点回帰である。
むしろ、なぜ今まで行かなかったのかと自分の事ながら不思議に思うくらいだ。
勤務先の近くの「マルキ屋」で辛みそラーメン(ピリ辛・太麺)を食べてから
現地へと向かう。
宿の前を通りつつ敷地の奥にある駐車場へ。あらためてフロントのある建物まで
ゆっくりと歩き戻りながら周囲を見渡してみる。
シブい。おもむきのある、というよりは品の良さが感じられる雰囲気である。
またフロントの方の丁寧な対応が好印象である。

風呂場へと向かう。脱衣所は100円ロッカーと、かごにインするタイプとある。
そそくさと脱いだ服をかごにインし、颯爽と浴場へ足を踏み入れる。
作りはいたってシンプル。入口から見て右手に洗い座が6つ、奥へと並んでいる。
左手に奥まである長い浴槽。浴槽側には中庭が見える大きなガラス窓。
天井に古民家風の梁が見えるが「凝っている」といった印象はない。
床の「黒」と壁の「白」のツートーンがシンプルさを強調している。
サウナやジェットバスといった施設は無い。湯で勝負といった意気込みを感じる。

「おお、君たちかね」と言葉にしてしまいそうなくらい、温泉馬鹿にとってはおなじみの
柿渋ボディーソープに馬油シャンプー&トリートメント、そしてかかとすりがある。
「やはり日曜日のお昼に温泉に行って形式的に身体を洗うのと、仕事の帰りに
温泉に寄って本気で身体を洗うのは違うなぁ」などと、どうでもいい事を考えつつ、
ふと奥の壁に掲げられている文字がびっしりと書かれた能書きに目をやる。
「大鷹の湯」のサイトに大浴場の写真があるが、それにはまだ無い。
おそらくその写真を撮った後日に掲げられたものなのであろう。
湯船に入ってみる。微か〜に温泉の香りがする。
「おおおおう。」ぬるすぎず、熱すぎず、ベストとしかいいようのない温度。
湯を手ですくい、身体にまとわせるだけで「ぬっ」とした感触がする。
「こ…これは…!!?」その肌のすべすべ速度に一瞬「オレ、ちゃんと身体
洗い流してから入ったよなぁ??」と錯覚するくらいなのだ。
「ただものではない」
五つ星源泉の宿、とやたらにプッシュするだけの事はあると納得の湯ざわり。
この湯、満喫する以外に道無し。
残念ながら庭の様子を堪能するホドのライティングはされておらず、よく見えない。
壁に掲げられた温泉についての能書きに目をやる。
…嘆いている。昨今の温泉事情について嘆いている。
真の温泉とはいかなるものか、と説いている。
当宿の湯の良質さの自信の表れ、と感じる事ができる。

湯船に一見「ゴミ?」と思われるようなものがぷかりとしているのだが、
おそらく沈殿している温泉成分なのであろう。
硫黄泉とは全く違う湯なのではあるが、十分に「濃さ」がうかがえる。
痛めた腰を半身浴で湯につけ、出入りを繰り返そうと、そんなつもりだったのだが、
どういう訳だかついつい全身を沈めたくなる湯なのだ。
これがいけない。思っていたよりも早々にのぼせ上りぎみになってきた。
湯に浸かっていたのは正味20分弱といったところだったかもしれない。
しかし、物足りなさのかけらもなかった。

着替えを終え、外へ出る。なにやらほんのりと気持ちの良い香りがふいっとした。
落ち着いたたたずまいの景色。ふと、露天風呂への入口が目に入る。
そうなのだ。ここには露天風呂もあるのだが、それは宿泊客専用なのだ。
他にも貸切風呂などもある。サイトの写真によれば、オール木造りで
窓から見える景色も素晴らしそうではないか。
もし、何かひとつ贅沢を叶えさせてもらえるなら、ここへ泊りにくる事を
候補のひとつとしてあげるのは間違いない。こんな地獄ならば二泊三日で是非。
一言で片付けよう。
「あれはいいよ。」 このことである。
さて、帰宅と車に乗り込むとまださっきの香りがただよっている。
なんと、どうやら身体から立ち上る温泉の香りのようだ。
おかしい。温泉の香り自体は本当にほのか〜〜なぐらいにしかなかったのに
なぜ、湯上りに香るほど残っているのか?…不思議な湯である。
ともあれ、その香りの気持ち良さまでもが湯の是か非かを語っていた。


「大鷹の湯」データ:Ph8.4(現地温泉成分表による)
 ナトリウム-塩化物炭酸水素塩温泉(アルカリ性低張性高温泉)


◇「大鷹の湯」サイト

◇「大鷹の湯」周辺マップ