前口上
22「太陽の湯」
21「ゆの郷」
20「りんどうの湯」
19「りんどう湖ホテル」
18「皆幸乃湯」
17「雲海閣」
16「ピラミッド温泉」
15「那須大丸ガーデン」
14「大丸温泉旅館」
13「大鷹の湯」
12「湯荘 白樺」
11「ほたるの湯」
10「福のゆ」
09「芦野温泉」2
08「サンバレー那須」
07「あかつきの湯」

06「鹿の湯」

05「千本松温泉」
04「華の湯」
03「芦野温泉」
02「幸乃湯温泉」
01「源泉 那須山」
.......................

2013年の「温泉地獄」
2014年の「温泉地獄」
2015年の「温泉地獄」
2016年の「温泉地獄」
2017年の「温泉地獄」
2018年の「温泉地獄」
2019年の「温泉地獄」

参考サイト

MAPPLE観光ガイド
湯まっぷ
那須温泉郷のサイト
塩原温泉郷公式ページ
板室温泉旅館組合
温泉の泉質成分効能

06「鹿の湯」地獄 2012年4月8日

そこは那須街道をぐいぐい、ぐいいい〜っと標高840m程まで登った所にある。
夕方6時には閉場してしまう為、メシを食わずに向かっても
仕事終わりではどうしても間に合わない。
というワケで前回から中一日しかたってないが、日曜日浸かりに行ってみた。
那須温泉郷の超弩級有名施設、「鹿の湯」である。

前回の「千本松温泉」にて、温泉の香りをそれなりに強く感じたと書いたが、
ここに比べてしまったらもっと控えめな表現に訂正したくなる。
なんてったって硫黄泉だ。駐車場にさえ硫黄臭がぷんぷんなのである。
そしてその硫黄臭によって「いよいよここに来たか」という戦闘意欲が
沸々と掻き立てられている自分に気づきつつ、いざ入口へと向かった。

そのほとんどが木材で作られている古ぼけた建物が、
圧倒的な「本物感」でなぐりかかってくるようだ。
脱衣所、腰が抜けそうになった。本来、脱衣所と浴場との間にあるハズのドアが無い。
脱衣所から赤く茹で上がったおっさんどもが丸見えなのだ。
昔ながらの湯治場、文句は言わせない、そんな感じなのである。
そう、湯治場。故にボディーソープだのシャンプーだの、そんな物は無い。

まずは「入湯の心得」(鹿の湯サイト参照)にあえて従ってみる。
「かぶり湯」である。
タオルを後頭部あたりにかぶり、その上から「かぶり湯用の少し熱めの湯」とやらを
柱にひっかけてあった柄杓でばしゃっとかけてみる。
「あーっちーいいい!」
熱いのである。「少し熱め」とあったが、かぶり湯用なんでしょ?
ある程度は手加減してくれているんでしょ?…と油断していた。
湯あたり防止なのだそうだが、こんなのを100回もかぶっていたら
これで湯あたりしてしまいそうだ。10回ぐらいにしておいてみた。
そのすぐそばに「うたせ湯」があり、それを受け取るように桶が置いてあった。
その湯で身体を洗い流し、いざ湯船へと向かった。

一辺が2m弱程の正方形の湯船が6つある。手前左から41度、42度
中段左から43度、44度。奥左から46度、48度と温度設定になっている。
ざっと見渡したところ、25〜6人のお客さんがいた。
そしてその半数が奥の熱い湯ゾーンにたむろしているのだが、その件については
後々触れる事にしてみる。
空いているとは言い難い。が、混んでいる時はもっとすごいのだろうか。
軽くぞっとする。
とりあえず一番手前の42度の湯船に入ってみた。
なかなかいっしょに入っている人との距離が近い。よっぽどタイミングが良く
湯船が空かない限り、足を伸ばすのは難しそうだ。
白濁した湯なので、斜め前に座っている人の足がどこにあるのか、よくわからない。
故に、1、2度足が触れてしまったりした。
4〜5分浸かっては、湯から上がり4〜5分休憩。というローテーションで
42度→44度→43度→41度→43度、の湯へと順番に入ってみた。
通算約20分強。「入湯の心得」からしてみると、どうやら入りすぎのようだ。
が、やっぱりどうも良い湯のようで、「あと、もう少し」「えい、もう一丁」となぜか身体を
沈めたくなってしまう。なんとも不思議だ。
そして気づけばオレの身体も赤く茹で上がっていた。

44度でも「これはさすがに」と思うホドの熱さなのだが、到底入る気には
なれない46度と48度の湯船を、超ベテラン陣が取り囲んでいる。
そう、湯船を取り囲んでいるのだ。湯に入っているのはほんの数人で
大半の人は湯船を取り囲むように座っているのだ。
「鹿の湯愛好会」ともいえるような雰囲気なのだが、この超ベテラン陣が
なにやら鹿の湯の独特のムードを作り上げているような気もした。
そしてそのムード作りを盛り上げているのが
「高温の為、湯への出入りは入っている方に一声かけて」の張り紙だ。
なんという緊張感のある張り紙なのか。
緊張感のある張り紙といえば「硫黄ガスが発生しているので、床に寝ころばないで」
なんていう張り紙もあったが、実際は「邪魔になるから寝るな」といったところか。
もし事実だとしたら、床とほぼ同じ高さの湯に肩まで浸かっている人は、
「覚悟して入湯されたし」という話になってしまう。

長い長い歴史を持つ湯、を実感できるだけでなく「超濃口」を実感する事もできる。
今回も地獄と思う事はできなかったが、極楽とも何か違うような気がした。
そこをあえて一言で片付けるとするならば、
「横綱、稽古ごっつあんでした。」そんな感じ。

翌日、「鹿の湯」効果の底力を思い知る事になる。
なんと身体に染みついた硫黄臭がまだ残っている!
いや、他に「何だ、これは!」と声に出してしまった程の事がある。
なんとつるっつるになった肌が持続していたのだ。
次回のオリンピックが開催される年には50才を超えている、「潤い」とは
縁遠い中高年のおっさんの肌が、つるっつるのしっとりすべすべ、なのである。
さすがは野性味あるれる硫黄泉。恐るべし。

◇「鹿の湯」サイト

◇「鹿の湯」周辺マップ