前口上
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05「千本松温泉」
04「華の湯」
03「芦野温泉」
02「幸乃湯温泉」
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.......................
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03「芦野温泉」地獄 2012年3月8日
時刻は19時を回っていた。
街灯など無い、真っ暗な、細い、登り道。
「いや、オレは道を間違えた。こんな道であろうハズがない。」
来た道を引き返す。しかし実はその道で合っていた事を知るのは、
温泉に入った後、帰宅する時になってからである。
仕事場近くのラーメン屋から30分くらいで到着するつもりだったのが
遠回りに遠回りを重ね、一時間もかかってようやく目的地にたどり着いた。
日帰りバスツアーでも有名な、あの「芦野温泉」である。
こんな場所にあるとは、という心理からなのか
はたまた駐車場から入口まで続く小道の脇に異様に立ち並ぶノボリと石像の影響なのか
ぬーんとした独特の雰囲気にやや圧倒されつつも、とにかく入場してみる。
平日限定なのだろうか、午後4時以降は入浴料が630円になっていた。
そして建物内に足を踏み込んで、またもやその雰囲気にのけ反らされる。
「千と千尋の神隠し」の湯屋。あそこまでカオスではないが、ほぼあんな感じ。
そして「芦の湯」へと向かう。
ボディーソープ、シャンプー、コンディショナーが、それぞれ3種類づつ。
さらに石鹸も2種類。もちろん「気に入ったら売店にてどうぞ」的な
販促として置いてあるのだが、ここまで多種類だとなんとも贅沢感を
味わえる。ちなみにオレが座った場所には「炭」なヤツが
ずらりとそろって置いてあった。望むところである。大好物である。
さて、というかやっとなのだが、肝心の湯の方へ話は移る。
まず「ツルの湯」へ入ってみる。
入ってすぐに肌にぬっとした触感。わかりやすい。
「THE 温泉!」という感じ。温泉以外の何物でもない、とう説得力が
身体から疲労感を抜き出してくれている、と素直に思える。
ちなみに芦野温泉のホームページにある「温泉適応症」には
なぜか「疲労回復」が2個記されているが、つまりそれだけ疲労回復に
効果ありという事なのだろう、と勝手に解釈してみる。
次に薬草ミストサウナに入ってみる。
何の薬草なのかは解らない。とにかく薄っすらとペパーミントな感じだ。
5分おきぐらいに「ぐおおお」っと唸りをあげて、ミストな蒸気が
一気にサウナ内に立ち込める。
それがどういうワケか面白くて、笑いをかみ殺すのに必死だった。
さて、いよいよ芦野温泉の本丸ともいえる薬草の湯に突入する。
ホームページにも書いてあるようにこの薬湯、刺激が強いので
長い時間浸かっているものではないらしい。
特に男性の急所…いや男の勲章がやけにヒリついてしまうという話も聞いた事がある。。
「如何ほどのものか。よぅし、オレの男の勲章もヒリつかせてもらおうじゃねぇか」
てやんでい、とばかりにドアを開けると、そこにはワンダーな光景が
待ち構えていた。かなり重めなライティング。一角を照らす怪しい赤外線光。
その赤外線光の下で寝そべるじいさん。麦茶色の薬湯。
そしてその全ての圧倒的な雰囲気を支配する、何とも形容しがたい湯の香り。
ファンキーである。なにか地の底にでも招かれたのではないか、というような
錯覚さえ湧き起ってくる。
麦茶色の湯にそ〜っと身体を沈める。冷え症ぎみの足の指と、
なるほど確かに男の勲章にじわじわとヒリついてくるのを感じる。
5分経過。そ〜っと湯から上がる。
ヒリつきはしたものの、騒ぐホドのものではない。
本当は間をおきつつ、くり返し入浴するのが効果的のようなのだが、
いつの間にか閉場の21時が迫っていた。
露天風呂もあるので、前回の幸乃湯温泉同様そちらで仕上げといこう、と
移動する事にした。
おお、誰もいない。まるで貸切じゃないか。なんと贅沢な。素晴らしい。
ざぶりと身体を沈めると、な…なんと、なんとなんと!
男の勲章が激辛MAXなのである。ヒリつくどころの騒ぎではない。
ビリビリの感電状態なのである。たまらず立ち上がる。痛い。寒い。
しかしせっかくの露天風呂、5秒も入っていないというのに、
このままおめおめと退散してもよいものか?
「こんな爆弾をしかけるとは、薬湯め、やってくれる」
誰もいない夜の露天風呂に膝までしか浸からず、仁王立ちになっている謎の男。
「寒い!やっぱりこのままではいかん」大浴場へと移動開始。
内風呂の「メラの湯」を手桶で身体にかけてみる。が、こうなっては極上の湯も
男の勲章にだけはやさしくなかった。
一言で片付けよう。「入る順番間違えた!」
だが風呂から上がり服を着込み始めてみると、案外身体はホカホカしていて
着てきた服を一枚バッグに詰め込んで帰る事にした。
おそらく治療も兼ねて入浴に来ていたと思われるどこかのおやっさんが
先に玄関を出ていて、軽く足をひきずりながら例のノボリが立ち並ぶ小道を
ゆるりと下っていた。
無音。静寂さが夜の山中にいる事を悟らせる。
その光景がファンキーなひと時を締めくくっていた。
◇「芦野温泉」サイト
◇「芦野温泉」周辺マップ
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